少し前にこの本を読んで度肝を抜かれました。同級生の女の子に恋をする女子高生の話。といってしまえばそんなでもないんですが、常軌を逸していく過程が淡々としていておそろしい。
自分で勝手に約束事を決めて、その通りに行かないとこの恋がもうだめだと思い込んだりする感覚は、思春期の頃のことだとおもうと、結構よくわかる。あと、大好きな相手に恋人ができたと知ったときの衝撃。とか。
これだけ自意識に満ち満ちてるのに、感傷的でないところが好ましいとおもいました。視線がやけに冷静で、でもそれが余計にこわいんですけど。読みやすいです。思う相手を「天鵞絨」と呼ぶ美意識がとてもいいな。恋のためにどんどん堕ちていって、嫌悪を誘うような行為に出たりもするのだけど、思い込みもきわまると別の領域に達するのか、ちょっと神々しい感じさえする。
そのまま終わっても充分満足だったんだけど、結末にうっかりやられてしまった。別の意味で。思わず目の前の子どもを抱きしめ、ちょっと泣いてしまいました。泣く理由がちょっと違うんですが。
それで一冊目の本も読んでみたら、これがアナーキーな先の本とは全然違うのでまたびっくり。でもとても確かな言葉で書かれていて、どの短編もすごくよかった。特に「コマドリさんのこと」と「一入」がすきです。元気出る。長嶋有さんの小説に通じる雰囲気があるなあとおもいました。長嶋有好きな人は好きだとおもう。とても気に入ってしまったので、この人の本、他にも読んでみようとおもいます。